血管外科このページを印刷する - 血管外科

概要紹介

血管疾患(動脈と静脈の病気)に対する診断から治療までの一貫した診療を行っております。当科で診療を行っている代表的な血管疾患は、1)腹部大動脈瘤:動脈の壁が脆くなり、動脈が拡張する病気で、破裂を来すと致命的、2)閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患):動脈硬化で動脈が詰まることにより血行障害(虚血)を起こす病気で、安静時に足趾の痛みや潰瘍・壊疽がある場合は、肢切断に至る危険性が高い、3)下肢静脈瘤:体表面を走る静脈の逆流防止弁が壊れることにより、静脈血の逆流(うっ血)を来す病気で、生命や下肢に重大な事態は引き起こさないのでうっ血症状が高度な場合のみ治療対象、です。近年、高齢化と脳や心臓等の動脈硬化性疾患の増加に伴い、動脈疾患の症例数が増加しております。血管疾患の治療には、血管内治療(カテーテル治療)の進歩が大きく寄与しており、当科では血管内治療を優先した治療方針のもとに診療を行っております。

 

当科の特色

当科は、当院の前身である国立福岡中央病院時代から血管疾患を専門に診療を行ってきた伝統と実績のある診療科です。身体に優しい血管内治療を優先する治療方針ですが、血管内治療が施行困難な場合や、血管内治療の長期予後が良好といえない場合も少なくなく、その場合は通常の手術をお勧めしています。

  • 腹部大動脈瘤:動脈瘤を人工血管に取り替える(開腹人工血管置換術)手術か、カテーテルでステント付き人工血管を動脈瘤の中に入れ込む(ステントグラフト内挿術)手術により治療を行います。昨年より、カテーテルの大きさの小皮膚切開で行う経皮的ステントグラフト内挿術を導入しました。
  • 閉塞性動脈硬化症:数日の入院で治療可能な血管内治療を優先した治療方針を取っています。大腿・膝窩動脈の治療後の再狭窄率が高いことが、この治療の欠点の一つではありますが、再狭窄を予防する薬剤溶出性ステントや薬剤コーティングバルーンなどの最新のデバイスを使用しています。血管内治療では対応できない病変に対してはバイパスなどの外科手術を適宜選択しており、足首付近の細い動脈へのバイパスも積極的に行っています。潰瘍・壊疽の治療は、形成外科等の関連診療科と協力しての治療を行っています。
  • 下肢静脈瘤:うっ血の原因となる静脈を抜き取る(抜去切除術)手術か、ラジオ波で静脈を焼き詰まらせる(血管内焼灼術)や塞栓剤で静脈を詰まらせる(血管内塞栓術)手術によって、逆流を止める手術を行います。

 

スタッフ情報

氏名(フリガナ)
小野原 俊博(オノハラ トシヒロ)
卒業年
昭和61年 卒業
役職・所属
  • 医長
  • 科長
専門医
  • 医学博士
  • 日本外科学会外科専門医・指導医
  • 日本心臓血管外科専門医・修練指導医
  • 日本脈管学会認定脈管専門医・指導医
  • 日本血管外科学会認定血管内治療医
  • 腹部ステントグラフト実施医・指導医
  • 胸部ステントグラフト実施医
  • 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医
氏名(フリガナ)
古山 正(フルヤマ タダシ)
卒業年
平成9年 卒業
役職・所属
  • 医師
専門医
  • 医学博士
  • 日本外科学会外科認定医・専門医・指導医
  • 日本心臓血管外科専門医・修練指導医
  • 日本脈管学会認定脈管専門医
氏名(フリガナ)
松原 裕(マツバラ ユタカ)
卒業年
平成23年 卒業
役職・所属
  • 医師
専門医
  • 医学博士
  • 日本外科学会外科専門医
  • 日本心臓血管外科専門医
  • 日本脈管学会認定脈管専門医
  • 日本血管外科学会認定血管内治療医
  • 腹部ステントグラフト実施医・指導医
  • 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医

診療実績

九州医療センター血管外科手術症例(2023~2019年)
疾患 術式 2023年 2022年 2021年 2020年 2019年
胸部・胸腹部大動脈瘤 切除・再建術/ステントグラフト 1 0 3 1 2
腹部・腸骨動脈瘤 切除・再建術/ステントグラフト 51 60 55 52 87
末梢動脈瘤(仮性動脈瘤含む) 切除・再建術/ステントグラフト 7 3 6 20 22
腹部内臓動脈瘤 切除・再建術/ステントグラフト 0 1 1 4 1
動脈閉塞症 解剖学的バイパス 3 0 1 0 0
  非解剖学的バイパス 2 1 6 2 5
  膝上バイパス(鼡径部以下) 4 0 0 1 5
  膝下バイパス(鼡径部以下) 12 3 10 16 17
  その他の血行再建(内膜摘除、血栓除去を含む) 24 14 9 15 13
  血管内治療 95 96 113 116 115
  肢切断術(大切断) 15 21 35 21 16
  その他(小切断を含む) 34 26 37 50 43
静脈瘤 ストリッピング 4 14 13 23 27
  レーザー焼灼、ラジオ波焼灼 26 12 4 0 2
  その他 0 1 2 9 2
血管外傷   1 2 1 0 0
その他   13 28 17 0 0
合計   292 282 313 330 357